2013年4月28日日曜日

もずく、4・28


 私が駆け出しのころ(つまり30年も前)、もずくといえば(主に日本海側の)海沿いの高級な食材だった。そのころ、沖縄で新しく漁協を引き継いだ青年幹部たちが、穏やかで美しい前浜を活かして養殖漁業ができないものかと全国を行脚して調査していた。しかし、そのころの技術では魚を飼うことは環境維持との両立が困難だということを悟った。そうして隣県鹿児島のモズク養殖の技術開発に着目した。試行錯誤の上、沖縄の前浜での養殖技術を実用化した。且つその技術を開放した。環境と調和して持続性が可能な養殖技術がモズクでは確立している、いやモズク養殖は海の環境を保持しなければ成り立たない。

 沖縄本島の西にある久米島。古代の中国の人が、仙人が住んでいると思った島。その東海岸の絶景の瀬に自然の藻場が広がる。数少なくなってきた天然モズクの漁場。たしか4月が収穫時期だった。
 天然は少なく希少だ。「美しい海、貴重な天然もの」という上手なコピーの商業主義ではだめだ。その生息地のある環境を‘まるごと守ること’。このことと連動する企画の立場が必要。「たまに食べられるぐらい」がちょうどいい。
かつて沖縄の産物をできるだけ取り上げてほしいと微力を尽くした。

 さて、今日は「4・28」。日本政府が沖縄を米軍支配に渡した日だ。復帰後もたいして変わっていない重苦しい現実に目を背けて様々な虚構が展開される。

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