2012年3月10日土曜日

雀の母さんそれ見てた


私は釣りを好まない。どうもだめだ。あれは「殺生」だと思っているからだ。
だからと言って、魚も食べれば、活き作りだって食べる。まして、鮮魚でこそなかったが水産の仕入を10年も経験した。だから、「殺生」だと思うなんて「偽善」だとも言えるが、やっぱり「釣り」はできない。きゃっと飛び上がるようにいやがるのを、めめしいと言われのもいやなもんで釣りはやらない。

「金子みすゞの詩を歌う」出演者のみなさん
「いわしの大漁が、海の中では弔い」、「鯨法会で鳴る鐘をききながら、沖で鯨の子がひとり、死んだ父さま、母さまをこいしこいしと泣いてます」「雀をとらえた子の無邪気、それをみる母親、雀の母さんそれ見てた」という。

金子みすゞが服毒して亡くなったのが3月10日。
昨年の3月11日まさにその時刻この場所でメモリアルコンサート「金子みすゞの詩を歌う」の初演の最中だったらしい。収益金の一部を被災地支援にという趣旨も加味して11月に再演を始めた、そして3月9日の公演に及んだ。詩の朗読を担当する湯川あきさんのお誘いで鑑賞させていただいた。

3月10日は記録上のこと。当事者であれば感覚的には3月9日の深夜、9日を過ぎた午前0時過ぎから数時間、東京下町の大空襲から67年目。その後も数次にわたり空襲を受ける。よく計算しつくされた火の海地獄。日本の軍事産業は家内制的分業に支えられる、したがって庶民の住居を破壊するのは軍事目標をたたくことであると机上の屁理屈。一線を越えて割り切り狂気に突き進むか、いわしの遺族、鯨の遺子、雀の母さん…になるか、二つにひとつ、いざとなればもがき苦しむしかない。いくさ(戦)とか、たくらみ(企み)とか、どうも向いていないように思う。

以前、都知事選挙に出ていた小池晃さんが、昨日こうつぶやいていた(以下、引用)。「東京大空襲を指揮したカーティス・ルメイは江戸時代の大火が3月上旬に集中していることを調べこの時期を選んだ。325機のB29はまず正方形と2本の対角線のライン上に焼夷弾を落とし火の壁で住民の退路を断った上で1㎡当たり3発、総重量2700トンの焼夷弾を市民の頭上にばらまいた。」「このカーティス・ルメイに対して、日本国政府は1964年、「航空自衛隊の育成に貢献した」との理由で勲一等旭日章を授与した。」確か、ずっと以前に「農と島のありんくりん」さんもそういうことをブログで書いていたナ。

戦前の3月10日は陸軍記念日、75年前のこの日、母は初産で双子の男の子を産んだらしい。一人は助からなかったのだろう、双子で生んだことは生前一言も言わなかった。一人は虚弱児で育てるのに相当苦労したらしい。「りく」ちゃんと名付けられた兄は、いま再発したガンとのつらい闘病生活にある。
めぐりめぐって、私の孫に双子が生まれた。ひと月を過ぎ順調に育っている。

明日はつれあいの両親そして叔父の一家の津波に呑まれた命日になる。

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