2011年10月2日日曜日

いわば、こう

 なんだったかと思うと「フクシマ」のことを夢にみてしまっているようだ。おじけづく自分とおじけづかないようにする自分がいる。

 山道をのぼりながら考えた。見ず知らずの人たちと一緒にいるのだけれども、山を行く人たちに悪い人はきっといないな、と。ヨガをする人たちにもそういう人はいない感じがするように。こころ穏やかになっている。

 僕は臆病でいけない。
 寒さと強風とそれに岩場。
 頂上付近。大げさに言うと太平洋側から山の頂上を少し越せば日本海側だ。岩場を跨げばその日本海側からの強風が急に吹き荒れる。これまでの登りのルートとは一変する。僕は根っから風が怖い。気温は4℃、予想はすべきだったものの覚悟と準備が足りなかった。芯から冷えて寒い。強風が体感温度をより引き下げる。それ以上に私を萎えさせたのは岩場の連続だ。これから、この尾根伝いに次に目指す頂上に向かう。聞けばあと1時間ほどの行程らしい。山の頂きはガスって何も見えない。苦労して辿り着いたとしても、今日の天候では眺望は何も期待できない。何よりも仮に頂上に行きついたとしても、もう一度その岩場の連続を下らねばならない。尾根の岩場は高所恐怖症で且つ身体の硬い私には、絶壁を降りるようにも感じられるだろうことが容易に想像された。かくのは疲れの汗ではなく冷や汗の方が多いに違いない。

 強風と寒さとガスのミスト状態、視界は悪い、これから更に続く険しい行程。
 すかさずリーダーが全員に声をかける。「引き返したいものは、引き返してよろしい」と。内心ほっとした。いや、気を奮い立たそうともした。しかし自分のことをよく考えてみた。この頂上にたどり着いた岩場を降りるのでさえ自分には難儀だと思われる。リーダーがひとりひとり確かめて歩いたとき私は体面上、即答はしなかったものの、あとだしじゃんけんのように後で引き返す旨の意思表示をした。岩場があることは説明会で聞いていたのでたじろいだのだったけれども、来てみなければわからない。ここまで来られたことをよしとした。あとでリーダーたちからもそう言われた。引き返した人は1/3。前後をサークルの人たちが付き添ってくれた。強風と寒さでの判断だったとはいえ、穏やかな天候であったとしたら私はあの険しい岩場をのりきれただろうか。そう考えれば、やはり冷や汗ものだった。この手の山は登る資格がないのかもしれない。山腹から眺望した青い山並みや木々の美しさを堪能し、よい運動をしたにもかかわらず、最後の達成感を得られず少ししょげてしまった。なにか自分の人生と似たようなところがあるものだ。

 足の筋肉痛はすぐ来たから、肉体はまだ若いのかもしれないけれど、実は緊張の痛みなのかもしれない。

 昨日は山を下りたところの道の駅のような市場で珍しい野菜を買ってきた。なんと、今朝はさんまも届いた。筋肉の疲れをとるために朝風呂に入る。お腹をこわさない程度に刺身をいただき、晩酌をするつもりだ。しばし、オハラショウスケさんにいたる。

 いばらきのひとも、ちばのひとも、ふくしまのひとも、さんりくのひとたちも、しんしょうつぶされるわけにはいかない。そして「フクシマ」のことを思うひとに悪いひとはいないと、こう確信している。さて、問題は…。

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