2010年4月30日金曜日

つらくとも


 つらいころ、ヨガをすすめられた。

 当時そんなことだから是非いっしょに行ってくれと妻殿を拝み倒して、ジムの教室に出た。それと、ご婦人がほとんどで気後れもするのと、この私にヨガはどう考えても似合わないからだ。様子をみていつでも逃げられるようにして通うようになったのが、数年前である。

 そうこうしているうちに、妻殿からピラティスもいいよ、今度のソフトヨガは若い先生よ、ストレッチ教室もきっとできるよ、免疫リンパナントカも「おりゃぁ!」とかおもしろいよ、とかなんとか誘われて出るようになった。仕事を終えてぎりぎりで間に合う時間帯だ。

 続けているのはご利益(りやく)があるからだ。当時悩んでいた高血圧気味の状態が軽快してきた。常用薬をやめて一年にはなる。酒もうまい。圧倒的な数のご婦人のなかに男性はひとにぎり、ときには一人のときもあるが、もう平気だ。一週間がこれでまわる。

 しかしながら、屈折や足を真直ぐに伸ばすことなどはほとんど苦行である。「心地よいところで力を抜いてリラックス、さらに息をながぁく吐いて伸ばします。」なんて、その最中は、伸ばそうとする私の足はぶるぶるしている。骨盤を起点に上半身など沈んでいかない。苦痛そのものの時間で、快感なんかついぞない。第一、みんなが折りたたみ式の携帯電話のように屈曲しているときにまるで伸び行くスカイツリーのようにひとりつっ立った状態でちょっと傾いた程度、だ。見渡せる。インストラクターの「1ミリ1ミリ伸びていくことをイメージするのが大切です。いつかはやわらかくなります。」と聞こえてくる。私のことをフォローしているのかな。

 達成感はないが、つらくともなにか、からだの中の循環がよくなったような気がしている。恵まれた日々をおくっている。

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