2010年4月1日木曜日

今日の嘘


 東京の桜は咲いた。月めくりのカレンダーをめくる。冬水田んぼが一気に菜の花畑になる。んな馬鹿なことはないのだけれども、カレンダーの世界では真実だ。

 大人の頭の重さはだいたいスイカ1個分と聞いている。虐待で死なされた子は5歳で6kgだった。この子の身体全体の重さが、肩こりで右に傾けたり、上に仰いだりしている私の頭ひとつ分もなかったなんて…。ウソだぁと信じたい現実。

 あなたはいつも美しいと言うと、ウソだよと言われる。ホントのことだよと言い返す。

 山田洋次監督の言う「映画の嘘」を新田匡央さんは著書『山田洋次 なぜ家族を描き続けるのか』(2010年1月刊、ダイヤモンド社)の第3章で紹介する。「より真実を描くための‘嘘’」、映画「おとうと」でのセリフの内容に私もへぇ~と思った印象的なシーン。ヒロイン小春の幼なじみで大工の亨が洗面所のドアを直しにきて言うセリフ。

「ドアは本来垂直につけなきゃいけないんだけど、重みで傾くことを計算して、吊り元を二ミリか三ミリ傾けておくんだ。これを大工の嘘と言ってね」
「たとえば天井があるだろう。この部屋の広さだとセンターをほんの一センチ二ミリか三ミリ上にそらしておく。そのことで初めて水平に見えるんだ。そういう嘘をあちこちでつく。これが大工の極意。なんちゃって」(引用)

 私は美しい幻想を見たい。幻想を見たらよい嘘が書ける。山田洋次さんに倣いたい。なんてこったい、ノートに幻と書こうとすると幼となる、私の実体が反映するのだろうな。

 あなたはいつも美しい、こころが。ホントのことだもんなぁ。

 身を守るための虚言を弄することはあっても、ひとのためになる「嘘をつく」ことができない。一途にリアルを追究してリアリズムを超える。芸術の域。

 今日はどんなウソをつけばよかったのだろう。
 *このニャンは妻殿のおみやげの箸置き。作者先生から買ってきたという。

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