2009年11月4日水曜日

安くなければ売れないから


 売り場では各社値下げ競争が止まらない。生き残りのため。食うか食われるかの段階を「競争」という、競合段階を通り過ぎた概念だ。値下げをしなければ売れない、と思っている、いや実態が確認されている、きれいごとではない。可処分所得が少ないからだ。そのことの働く人々の運動や農業などの生産となんらつながりはない。ただひたすら「安さ」、「買いやすい安さ」を何とか演出して買ってもらおうとしている。一刻も早く売上を回復したいと考えている。
 するとこういうことが起きている。我が国の小売の最大手はI社。安くするためには、I社をスタンダードとして、それより品質(と味)を下げさえしなければ、安くするための手段は問われない。何をしてもよい。それでI社の品質とほとんど横並びとなり、価格を高くするような要因例えば国産原料だとかこれだけはという素材を放り出しつつある。安くするためにトレードオフという手段があって本来は無駄な機能を排除するという手法だが、商品哲学までも無駄という理屈がまかり通るような「安さ」への追求となってきている。おそらく拠って立つ基盤を自ら壊しつつあると考えられる。集団催眠にかかったようにみなが皆その方向に進んでいる。会議は事務的に進む。そして書類の不備、記載の不備の枝葉末節だけが目を皿にするように見つけ出されて「検討」「点検」が終わる。
 安くなければ売れない…。そうして当面売れればよいか。売れなければ安さが不足していたという見直し。忙しいだけの仕事なのだけれども。

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