2009年9月4日金曜日

特訓


 私は落ちこぼれたら這い上がることができないかもしれません。誰かの手助けを待つのかもしれません。さもなくば、奈落の底まで落ちて行くのではないかと考えます。

 我が家のつれあい殿は一念発起、一度しかない人生、生まれて初めてミュージカルというものに応募しました。腕に覚えのあろうはずがありません。“素人歓迎”その一点に賛同しての果敢な応募。しかしながら、応募はしましたが、オーディション、初顔合わせ、初めての練習、始まってからの役のオーディション、数々の重要な局面に立ち会えませんでした。私の母の容態が悪化し、亡くなり、何度か同行してもらったからです。

 不在することが多く、練習内容はどんどん先に進んでいます。「おたおたしているの…」と訴えられます。わかる、わかる。で、どうすの。やめちゃう。いや、やると言います。

 聞けばミュージカルとは複雑多岐な芸術です、歌も踊りも劇もやらなければなりません。参加者の人の中には、人に教えて食べているセミプロもいるらしく、とにかく腕に覚えもあって好きで加わっているらしく水準も高いようです。熱気があるようです。

 練習場はどこかの公共の体育館や施設を借りて毎回会場が違うらしいのです。空調のない会場では汗だくでみっちり土日を鍛えられるそうです。さすがに体力を使うらしくくたくたになって帰ってきます。

 さて、各自銘々で衣装をつくるように、型紙と布地を渡されました。あとでまとめて衣装の先生が染色をするそうです。それはいいのですが、洋裁について我がつれあい殿は腕に覚えがありません。昔、町には仕立て屋さんがあったと思いますが、今は探してみてもありません。衣服のリフォーム屋さんに尋ねてみましたがそこまではやっていないとのこと。また、仕立てれば4~5万円はかかるのではないかとアドバイスを受けたらしいのです。

 皆が一斉に逆を向きざざっと動く、はっと気付いてふた呼吸ほど遅れて体を転換し付いて行く。と、今度は一斉に皆がこちらを向く、目と目があっても吹き出すわけにはチトいかない。目と目があっても、向こうの目はこちらを見ていない、成りきっている。ひと呼吸も遅れてこなたへ動く。背中から出るのは冷や汗のほう。

 …と、そんな情景だと思います。私だったらきっと夜‘ウナセラディ東京’です。ついていけないの。おたおたしている。・・・。

 肝心なときの練習に加われなかったのだから当然だ、仕方がないとなぐさめます。さて、ピンチだ、頑張れ、我がつれあい殿。

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