2009年7月22日水曜日

霧島温泉


 トカラ列島の悪石島は雨風になって気の毒だった。陽が当たらなかった、文字通り。もちろん真っ暗にはなった。

 日本で初めて新婚旅行というものをしたのが龍馬だと言われる。京都寺田屋で幕府方に襲われ傷を負った。薩長同盟に功績のあった彼を薩摩が招待したらしい。1886年、龍馬とお龍さんのカップルで、行き先が霧島の温泉である。

 今回、そのあたりに一泊目は逗留した。空港から見える霧島連山の中腹だ。その温泉郷は数箇所に湯煙があがる。硫黄ガスが出て危険という箇所をさらにのぼっていったところに栄之尾温泉がある。観光名では林田温泉と言えば県内で知らぬ者は無い。
 梅雨は明けたというが、あいにく曇り空。眼下に国分の町と錦江湾、桜島、大隈の高隈山系が見える。すっかり晴れていれば、遠く南の開聞岳も見えるはずだ、これも絶景だ。

 標高は800mぐらいらしく期待していた通り涼しい。露天風呂に浸り仰ぎ見れば、南からきた飛行機雲が見える。身体は熱く、風は涼やかだ。

 夕食に丸尾という町に降りて行き、郷土料理を食べる。車で来たので私は飲めない。風呂上りの「ぷはー」をしたいができないので、ひたすら旨いお茶を飲む。郷土料理コースは大概、定番で、苦瓜の和え物、きびなごの刺身、鶏刺し、とんこつ(豚骨)、揚げ立てのさつま揚げ。

 鶏刺しは、添えてある「なます」と「ゆずしょうが」で食べるのだそうで、初めての趣向だ。妻殿は鶏刺しが大の好物で鶏のレバ刺しも追加注文する。砂ずりの松笠焼きも。初めて入ったお店のカウンターで楽しむ。

 夕暮れといっても8時前だが、この時期まだ明るい。ホテル自慢の庭園を散歩する。眼下に一瞬飛び出してきたものがあって、はっと立ちすくむ、にらめっこになり、頭の中でカメラと浮かぶのだが、身体が動かない。若い大きな鹿だった、あっという間に木立の中に走り去った。それでわかった、庭内にあるコロコロしたものは鹿のウンチだったのだろう。

 敷地内の音を立てて流れる谷川につくられた有料の露天風呂に申し込めば、車で連れて行ってくれる。「緑渓湯苑」という。渓流沿いに6つの露天があって、ホテルの用意する着衣のまま入る混浴だ。

 やっと部屋でビールにありつく。思えば朝は5時起き、電車はラッシュでしかもダイヤが乱れ冷や汗もので空港行きバスに間に合った。冷房は切っても涼しかった。
 
 小さいころ、霧島の林田温泉に行くというのは夢のような贅沢だと考えていた。県内一の繁華街「天文館」からバスが出ていた。何しろ、そのバスもホテルも県内の財閥が経営する。もう、往時の賑わいはない。

 本日、医者にかかり、食あたりの疑いがあるとのこと、抗生物質その他を処方される。このときの鶏刺しか鶏レバーにあたったのだろうか。 それとも夏風邪のようなものが胃腸にきたのだろうか。検査の結果は来週になる。

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