2009年7月13日月曜日

お店番


 「リプトン」とハイカラで珍しい看板の掲げてある商店を覗く。

 中から、椅子に座っていた店番らしき老婦人に手招きされる。珍しい看板、商い道具、前掛けなどがお店の中やガラス戸棚に飾ってあって興味があって招き入る。往時の文字通り金看板が並べて飾ってある。主に薬の看板だ。元は薬品問屋そして酒類問屋であったらしい。中にいくと仙台の古い絵地図が置いてあって、青葉城からお殿様はまっすぐこの道を通った、その最初の角にあるのが先祖のお屋敷であったと。ということは、もとは由緒あるお武家様の出であったのだろうか。ああ、元はお武家様で…、と水を向けると満足そうだ。こちらにきて商いをやったのね。そして今は昔の資料のこんなことやあんなことをまとめているのだと、紐で結んだ包みや箱をみせてくれる。昔、瓶はなかったから陶器だったのね、と陶器製の一斗樽を説明していただく、軍隊に納品した一升陶器、星のマークがあるから陸軍だろうか。なんでも訊いてという感じで説明をするのが、うれしそうだ。

 そしてまた同じところで、「今は昔の資料のこんなことやあんなことをまとめているのだ」と、包みや箱をみせてくれる。あっと気づく、この上品な老婦人は少し認知症がきているのだなと。7、8年前の母もこうだったのではないかと思い及ぶ。

 でも、本当にうれしそうだった。骨董品的におもしろそうな年代ものの道具をいくつも見せてもらった。この東北一の温泉街で手広く商いができていたであろう往時を想像しながら、失礼させていただいた。粋な黒塀(見越しの松)があって、今はなにも商ってはいない。老夫婦しかいない様子だった。

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