2009年7月9日木曜日

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労働者派遣法が製造業まで適用拡大(2004年)が決まってしまってこの社会に何が起きたか、それが「派遣村」で市民の目にようやく見えるようになった。

「ミナマタ」問題で昨日「特措法」が成立した。分社化?企業の加害責任と救済義務と能力を将来霧散させる仕掛けになる可能性が高い。そして、そもそも被害者の一部切り捨てだ。これを強行した。水俣の活動家Tさんから日曜日明けの深夜に連絡がきていた。抗議に被害者団体のみなさんが上京したという。集会にはでられない。せめてカンパだけでも。ワンコインカンパを有志に訴え遅まきながら応じる。

同時代ライブラリー『閉山』(97年9月刊、岩波書店)を通読している。奈賀悟(なが さとる)さんという新聞記者が大牟田に居を移して、書き下ろした渾身の作品である。ドキュメンタリー映画『みいけ』がきっかけで探し当てた。映像で表現していたものを、その 約10年前に本に著わしていた。本の名のとおり、三井三池炭鉱が閉山する年に上梓された。通読と書いたが、第3章の炭塵爆発の章から読み進めなくなった。読むのがつらくて。くやしくて。淡々と描かれる事柄のなかに、力を持つもの(資本、権力、曲学阿世の徒)のすりかえと不条理な仕打ちというものがこれでもかと読み取れる。映画のインタビューに出ていたCO中毒被害者の家族(妻)である松尾薫虹(けいこう)さんのあの姿の背景にあったものが描かれている。家族のみながみな「言葉では言いつくせないという」その筆舌では言い尽くせないものを映像の奥行きとこの本の行間から読み取る。かんたんに読み取れるものではないものとは考える、想像を絶する苦労だろう。こういうものに共通する重く深いものだ。

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