2009年7月2日木曜日

価値が違えば


月曜日に職場で知恵と経験を出し合って少しだけ勉強会をする。経験、スキル、出向、プロパー、いろんな人たちで寄り集まった。今年、このセクションに新人が配属されたのはわが社始まって以来の出来事。しかもその出身大学はブランドだ。

「泡を食う」というが石鹸を食べたようだった。それまでチーズというものを食べたことは無かった。と言いながら、石鹸も食べたことは無い。小学校6年のときだったと思う。助産科を営むところの子で、お母さんが忙しいけれども何でも持っていた友人の家で「食べたことがあるか」「ない」というので出してもらった。今思えばなんでもないプロセスチーズだった。加山雄三のCMが席巻し、乗り遅れまいと初めて口にしたコカコーラ。薬のようだった。高校のときに初めてなめたキッコーマン醤油。しょっぱいだけの変なものを嘗めたようだった。どれも最初は「これが食い物か!?」だった。
(故郷の醤油が他郷のものに比べて際立って甘いということを知ったのはずっと後のこと)

ホテル住まいでご不自由でしょう、とかいう趣旨で巻網船のオーナーのお宅に泊めてもらい、家庭料理をふるまってもらった。日本語はどうせ通じないので商社の相棒に言った「どこが違うんだ?」「ほんまでんなぁ」、スープとメインディッシュは魚か肉か出たかとは思うがそれは覚えていない。要は、チーズのあれこれとハムのあれやこれやで、どこがホテルの料理と違うのかわからなかった。しょっぱくて、カビくさくてそこの違いなのだろうか。白菜の乱切りの添え方だって同じだった。相棒はノルウェイ語交じりのイギリス英語でさかんに「おいしい、おいしい」とご愛敬を振り撒いていたが、こっちを向けば「こんなもんでっせ、毛唐の料理は」という態度で苦笑した。もちろん好意がありがたかった。どうすれば、よいものをつくれるかということに熱心な人だったので誘いにのった。この人の顔は鮮明に浮かんでくるが、もう名前は覚えていない。あのときのホテルと個人の家庭で出されたチーズやハムの違いがいまだにわからない。

納豆は他国のひとには腐った大豆にしか映らないだろう、我々にチーズのあれこれのカビ具合がいいというヨーロッパ人の価値があまりわからないように。

発酵と腐敗の違いとは一面「人間に都合のよいもの悪いもの」ということらしい。ただし、食文化によって違う。納豆とチーズのように。文化や背景、歴史を知れば食べ物はおもしろい。

かようにして、いろいろな感じ方、お申し出の内容、となる。はばひろく人とつながり、理解をし合えば、ホントは「グローバル化」とは楽しいもの。

 *画像は鳴子の無料休憩所「好日館」駅のすぐ近く。魚屋さんだったような商店跡を活用していたようでした。

○「中学生向けに貧困問題を説いた『どんとこい!貧困』を刊行しました。」と湯浅誠さんから新著刊行のおしらせ。 6月25日、4冊目となる単著『どんとこい!貧困』を刊行しました(理論社「よりみちパン!セ」シリーズ)。 主に中学生に向けて語る、というコンセプトのシリーズの中の1冊です。子どももすでに自己責任論に捉えられている場合が少なくない、と感じています。生きづらい世の中を作り出してしまう大人になる前に! 以下の理論社HPに本の概要が出ています、とのこと。 http://www.rironsha.co.jp/special/hinkon/index.html

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