2009年4月7日火曜日

居場所、寝所


 一万数千名の応募があって70名の採用があったそうだ。「寄らば大樹の陰」若者にこの傾向が強くなっているのだろう。恐怖の労働市場だ。同じような服を着て同じような態度で就職活動をしていることだろう。私には「歩くマクドナルド」(就活マニュアル人間)かあるいは逆に「歩くM1もどき」(芝居地味て個性を強調する)に見えてしまう。

 私とて自ら居場所、寝所をつくることをしてこなかったような気がする。大樹の中ではそんなことをしたくはなかったが、大樹を離れなかった。私自身のバリアは解けるだろうか。

 Nさんとは2回目だ。最初は私から偶然飛び込んだ。笑われた、みんな、そうおっしゃいます、と。相手にされなかったのだなと考えていたら、こんどはいきなりNさんの方からお便りをいただいた。あまりの好条件に詐欺ではないかと疑った。その間、偶然Nさんの話にでてきた日阪さんとも話がうかがえるようになった。

 どういうわけか私を最初は自由人と思ったらしい。
あなたがそういうところにお勤めならば、ぜひここの農産物を全国に紹介してください。

 ここの農産物はおいしいのです。Mくんもあなたたちの仲間のところに出荷しているようですよ。農家の人たちはとにかくそういうルートがほしいと思っていると思いますよ。私はできないけれど、紹介はいくらでもできる。

 見てまわった限りでは、耕作放棄地や集落における無人家は見受けられなかった。後継者もいるところにはいるらしい。

 Nさん、あれは2代目でお人好しだ。だが、信用はできるよ、とは日阪さんの評。保証人で借金はかぶったようだ。ずいぶん年上かと思っていたら、来年還暦、少し先輩なだけだった。

 ここに住んで、とけこんで、集荷場でもつくって全国に流してください。農業が大事です。農民は待っていますよ。

 さつまいも発祥の地。琉球から山川港(写真)に上陸した甘藷はこの地で栽培に成功した、その人の名は、現在地元の焼酎の銘柄として残っている。「甘藷翁」として奉られる前田利右衛門のこと。この甘藷は当地では「唐芋(からいも、かいも)」と呼び、全国に普及して「さつまいも」となった。かぼちゃ、大根、にんじん、たまねぎ、レタス、そらまめ、いちご、すいか、なんでもできる。ご多分に漏れず、収穫はしたが出荷されずに畑に放棄された作物は散見される。屈強そうな中年、若者の男性もみられるが、基本的には老人が支えている。世が世ならほんとにさつまいもと畜産しかなかった。広域潅漑事業とやらで変わった、豊かな圃場地帯がひろがる。聞けばよく遊びもするらしい、南国人の気風があるようだ。

 <指宿側から山川港を望む、大隈半島からのフェリーが到着>

0 件のコメント: