2009年3月2日月曜日

大鍋


 我家には径が26cmと30cmの大鍋がある。子どもが育ち盛りのころにはこの2つの鍋でカレーをつくった。米は一升炊いた。さながら合宿所の厨房のようだった。カレーのおかわり2はい、3ばいは当たり前。さすがに娘はあるとき、はっと気付いた。兄や弟たちと競うように食べていたのがはたと止んだ。

 私は、中学以降は母と二人きりだった。母は育ち盛りの私に気は使っていたがそれほど量をつくる人ではなかった。また夜の九時以降あたりからは食べることはなく胃がうけつけなかった。身体は細かった。

 妻殿は大家族に育った。私は結婚して妻殿の分量が多くて少し戸惑ったことがあったが、腹はすく方だったので慣れていった。残業も多くあって夜遅くにも夕食をとるようになった。30歳を過ぎるころ、普通にズボンのウエストだめになった。

 合宿のようなにぎやかな夕食風景が通り過ぎ、ひとり減り、ふたり減り、ふたりっきりになった。それでも妻殿は26cmの鍋にカレーをつくる。とうとう食べるのに3日かかった。この辺のことは“野生のトキ”さんたちが言う通りの変化だ。わかっていながら我が家でも再現している。カタログ「KINARI」(パルシステム)へと誘導されるのだろうが、まだ変えていない。

 たまねぎ、しょうがなどは網の袋に入れて吊るして保管している。昨日のおかずにたまねぎが入っていなかったけど、と何げなく指摘すると、えっと妻殿。生姜はとりに行ったけれど、玉葱は目に入らなかったらしい。天真爛漫なお人。福島の酒蔵で直接買ってきたつくりたての酒粕をふんだんに使った粕汁があと2日は続く。「他の酒蔵と違ってうちはあまりきつく搾らないから湿潤」なのだと紹介されたらしい。甘酒も旨そうだ、つくってもらうつもり。もちろん酒も美味かった。

 妻殿がいると家が明るい。妻殿の実家も姑さんでもっている。昨夜3日間のお留守番で私はどっと疲れ、酒がまわって早く寝た。今日は天気で気分がよかった。

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