2009年2月13日金曜日

愛情の形


 旧帝大正門の近くは大路が交差していて電停があり、この辺りには古本屋が並んでいた。その一角に古道具屋さんがあって小さな鏡台を求めた。2,980円、アルバイトの日給代ぐらいだった。この電停から一駅分歩いて行けば、叡電と呼ばれる私鉄の駅と交差する。この近辺は朝鮮韓国をルーツとするいわゆる「在日」の人たちが住んでいた。ここまでかついで行って、叡電に乗って岩倉という駅まで行ってまたかついで行って届けた。あの岩倉具視が安政の大獄時に遁世した里だ、当時は田んぼだらけで夏は蛍が出た、今は高級住宅街になっている。彼女の誕生日のプレゼントに贈った。私は愛情を形に残す。あれから今日で恐らく34年。今もこの部屋の隅にあり使ってもらっている。

 16分ボイルするハンバーグ、冷凍のまま5分間焼く餃子、彼女がつくり置きしていた豆、野沢村から取り寄せた野沢菜漬け、恩納村の早採れもずく、インスタントのもずくスープ(フリーズドライ)をメニューにして一応上げ膳据え膳して、30年ぶりの二人だけの静かなお誕生日。ジムで「ステップ」をして汗を少し流したあと、二人で焼酎を楽しんでいる。

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