2009年2月11日水曜日

県庁の15階


 秋田に行く途中、下の息子のところに立ち寄った。県都の中心で官庁街の中にアパートはあった。今風に入り口はセキュリティーで守られている。部屋の鍵がなければ建物に入れない。周辺は食堂・飲み屋・割烹には困らない、いや過剰にあるように思える。職場は歩いて10分、地方支社で家族的雰囲気のようだ。新卒者の売り手市場だった。大量採用があって配属された。一年違っていれば様変わりした求職市場でえらい目にあったことだったろう。案の定、ついこの間、国内外でグループ企業2万人の削減を発表した。県都にいながら新幹線で東京本社に通う仕事が多いという様子を聞けば、支社そのものが統廃合される日も近いのではないかと感じた。
 
 息子たちだけが安泰でいいとは思わない。年末年始にとくにそれを感じた。トップ企業の弱者非正規雇用労働者たちへの仕打ち。「正月も」なかった。就職して初めての正月を「実家」で迎えた子どもたちはずいぶんとのんびりしていたが、いずれ我が子たちにも及びかねない厳しい現実を想像した。醒めたところがありながら、ひたすら企業社会に順応することを身につけようとしているように見える。「闘え」そう言うことができない。椅子取りゲームの椅子をとることよりも、椅子を増やせと説得することができない。
 
 並ぶほどの店だからと早めに県庁の15階に上がって昼食をとった。地元の素材を使った特徴あるメニューだという。県内の工場直送の無濾過ビールも味わえた。登ったことのある筑波山もはるかに展望できる。富士山も展望できるそうだが、かすんで見えなかった。県庁は高くてりっぱな建物だ、並び建つものがない。息子も元気そうだった。

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