2008年12月12日金曜日

スゴイ時代


巷では3万人と言われているが、あれは氷山の一角。

数十万の人が文字通り路頭に迷うだろう。「派遣切り」に始まる情け容赦のない事態のことだ。トヨタ、キャノンにはじまる有力企業の横暴のことだ。連鎖する下請け関連企業のとる手段のことだ。

職場の労組から声が挙がらない。正職員労組にも及んでくる社会の地盤沈下のことだ。海の向こうのアメリカではビッグ3の企業の賃金がどうして日本のように安く引き下げられないのかと指摘された。そうして公的資金の注入が見送られたそうだ。
 明日の収入すらない人にはどんな仕事でもどんな低賃金でも受けざるをえなくなっている。追い詰められる。社会に“いがみあい”が始まることだろう。あぐらをかいている正規職員が悪いと、ぬくぬくとした公務員が悪いと。そうすると‘キャツラ’の思うつぼだ。地獄へのスパイラル。芥川龍之介の描く「蜘蛛の糸」の世界だ。

73年には薬局とスーパーからトイレットペーパーちり紙の類と洗剤が消えた。わずか1週間で食べ物が2倍になった。それを当時下宿生活で体験した。 87年は東京に転勤になった。バブルの真っ盛りで家賃が3倍の10万円を払わねば貸してもらえるところはなかった。 私は生涯のなかでそのような激動を経験した記憶があるが、そんな程度の社会の変動ではないらしいというのが金子勝さんの見通しらしい。スゴイ時代が到来している。

ベトナム戦争のあのときのように、あの空爆の下で殺され傷つき、住むところや田畑を奪われる人々のことを想像した。こんどは他国ではなくこの列島のなかで職場を追われ、まさに住処を奪われることが現在進行しつつあることだ、傷つき、絶望で自死に追い込まれる人が出てくる可能性も大きい。「生きさせろ」(雨宮処凛さん)だ。連日の報道を傍観しているうちに私たちと「地続き」の周辺でもう進んでいる事態だ。

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