2008年11月21日金曜日

年季


 トイレットルームに閉じこもっていても多少の大声で話せば会話ができる。うちの夫婦はそれができる、年季がちがう。シチュエイション上、簡易な会話であるが。
 うら若き息子に同じようなノリで語りかけようものなら、ドアの向こうで押し黙る。あとから出てきてマナー違反、非常識をなじられる。もっともだ。
 恥じらいかなぐり捨てて、実質本位、対話はどこででもできる、ベテラン夫婦の相思相愛は揺るぎもしない。

 その息子から初めて聞いた。普通の表情のとき、若者には鼻の両側から頬、口にかけての線はない。歳を重ねたひとにはある。「ちょっと東京へ、映画観に」の先週の電車の中で確かめた。その通りだった。その線が最近出てきたと息子は嘆く。この線も人生の年季の証。

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