2008年11月11日火曜日

ぞっとする話


 この国の自殺者の数は年間三万人を超えています。職業的には自衛隊と警察に異常に多いと言われます。この間の事件、判決で閉鎖社会あるいは閉鎖空間におけるいじめ、リンチが想像されます。

 王朝時代、東国の農民が兵士としてはるか遠い九州にひっぱられました。防人の歌として万葉集に伝えられています。どれほどつらい賦役であったことか悲惨なことであったことか。年季を終えて東国に帰るにも行き倒れになったと伝えられています。 どれほど無念であったことか。

 安倍晋三元首相は教育基本法を変えました。私がつらかったあの時期なのでよく覚えています。その安倍さんが任命したのが田母神(たもがみ)航空幕僚長です。遡れば小泉元首相の時代にこの人は航空総隊司令官に昇進しています。

 日本国政府は1995年に初めて村山首相の談話によって「植民地支配と侵略」を認めています。ですが、それ以前にそれはもはや世界では常識でした。なによりも朝鮮半島や中国、東南アジア、太平洋諸島のひとびとが被った事実でした。

 田母神さんは公的な立場、しかも実質上の国軍という実力組織のトップの立場にありながら、つまり軍人の立場にありながら、侵略戦争を否定し、イラク派兵についての国権のひとつである裁判所判決に対しても「そんなの関係ねえ」とうそぶいた人です。

 軍人に二度とこの国を支配されないというのは戦前の狂気の軍国主義社会からの教訓です。政治的主張はどうあれこの国のルールです。この人の立場、言動は「札付き問題幹部」の不良行為や非常識ではすまされない話でしょう。文民統制が機能していないどころか、そういう三流の人物を重用する組織の、まして武力組織の危うさ恐さを語らずにはいられません。政権党の人を見る起用する能力の無さでしょう。

 旧日本軍の内務班の様子は「真空地帯」、「戦争と人間」(小説、映画)などでも描かれています。徴兵のシステムによって年齢に達すれば有無もなく軍隊という国家的監獄へ引き込まれ、善良な庶民の人間性が全て否定され、ひとを殺すそして死ぬことを恐怖しないマシーンとして改造されました。天皇に忠誠を尽くさせられた兵士がつくられ、他国を踏みにじり侵略をしました。

 田母神さんのような人がこの国の軍隊のトップにいる、ぞっとする話です。

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